香水の量り売りは違法で危険?薬機法を踏まえて解説
香水の量り売り自体はルールを守っていれば違法ではありませんが、お店によっては違法や偽物のこともあるので、見極めが重要です。
2種類の量り売りの方法と、量り売り香水を購入する際の注意点を失敗談も交えて説明します。
香水の量り売りとは?
香水の量り売りとは、香水ブランドが販売しているフルボトルではなく、少量を別の容器に移し替えて販売することです。
販売されている量は1.2mL~10mL程度。
ブランド独自でテスターとして配っているものもあれば、ブランドとは別の会社や個人が本体から移し替えて数百円から1,000円前後で販売している場合もあります。
香水の量り売りのメリット
- 香りがわからない香水の香りを確かめるために使用するのに便利
- フルボトル買うよりも安いため、さまざまな香水を楽しみやすい
- 持ち歩きに便利なアトマイザーやガラス瓶に入っている
香水の量り売りのデメリット
- 試したことのない香りだと正しい商品が入っているか判別できない
- 割高
- ルールを守らずに販売していると安全性に不安
- 香水そのものの製造日が不明
- 衛生管理がきちんとされていないと異臭や健康上のリスクがある
香水の量り売りに化粧品製造業許可が必要?
香水は薬機法において「化粧品」に当たるため、薬機法に則って以下の許可が必要です。
許可名 | 化粧品販売業許可 | 化粧品製造業許可 |
内容 | 香水を自社の製品として販売 | 香水を製造 |
香水の量り売りは上記のどちらでもないように思えますが、香水を「事前に」本体から別の容器に移し替えて保管して販売するだけで、「小分け製造」という製造行為に該当します。
製造行為には、包装、表示、保管行為も含まれます
埼玉県庁サイトより
そのため「化粧品製造業許可」が必要です。許可が必要のない販売方法については後述します。
薬機法とは
以前は薬事法と言われていた薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。
上記の名称通り対象は化粧品だけではありません。
内容を簡単にまとめると、私たちが製品を安心して使えるように品質・有効性・安全性を守るべく製造・表示・販売・流通・広告について細かく規定している法律ということです。
香水の量り売り方法は2種類
小分け製造と分割販売という2つの方法があり、それぞれの違いは以下の通りです。
量り売りの方法 | 小分け製造 | 分割販売 |
---|---|---|
意味 | 前もって別の容器に移し替えて保管した作り置きを販売 | 依頼の都度必要な量を補充して販売 |
必要な許可 | 化粧品製造業許可 | なし |
基本的にフリマサイト等で個人が販売している量り売りの香水は分割販売が該当するはずですが、許可が要らないからと言って何の条件もなく販売ができるわけではありません。
医薬部外品・化粧品の表示については医薬品医療機器等法による表示規定のほかに「化粧品の表示に関する公正競争規約」、「化粧石けんの表示に関する公正競争規約」及び「歯みがきの表示に関する公正競争規約」による表示義務も生じてくるので注意が必要である。
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/anzen/iyaku/sonota/koukoku/siryou.files/R5-4dai3syou.pdf
また、この分割販売が可能なのは店頭のみ(通販やネットオークションではNG)と書いている記事も。
香水の量り売りをメルカリ・paypayフリマなどのサイトで匿名販売している場合、お客様(消費者)に氏名や住所を明かしておらず上記をクリアしていない可能性が高くなります。(表示義務が違反)
※容器に印字している場合もあるものの、商品画像に載っていなければ手元に来るまでわかりません。
香水の量り売り購入の注意点
販売方法が①小分けか分割か、②小分けの場合には化粧品製造販売業許可書を取得しているかを事前に確認した方が安全です。
確認が難しい場合には購入を避けた方が安心ですが、口コミがあればチェックしましょう。
ただし、口コミ件数がとても多く、評価も悪くない店で香水の量り売りを購入して、アトマイザーから生臭い異臭がした経験があるため、届いてみないとわからないというのが実情です。
アトマイザーの保管状態が悪かったのか、香水に異物が入っていたのか、衛生管理確保違反ですね。
また、法律とは別に各フリマサイトのガイドラインによると香水の量り売りは禁止されています。
メルカリのガイドラインに記載の禁止行為
メルカリでは以下のように香水の量り売りは小分けも分割もNGです。
どのようなものが違反になりますか?
https://help.jp.mercari.com/guide/articles/892/
- 許認可のない手作りの化粧品類
- 小分けや詰め替えをした化粧品類
ヤフオク!のガイドラインに記載の禁止行為
ヤフオク!でも以下のように香水の量り売りは小分けも分割もNGです。
B.出品禁止物
化粧品(当社が化粧品と判断したものを含みます)のうち以下に該当するもの
https://guide-ec.yahoo.co.jp/notice/rules/auc/detailed_regulations.html#C_2
- (1) 個人が製造したもの
小分けまたは注文を受けて必要量を小分けするものもこれにあたります。- (2) 個人で輸入したもの
Yahoo!フリマのガイドラインに記載の禁止行為
ヤフオク!と同時掲載されるYahoo!フリマも同様に香水の量り売りは小分けも分割もNGです。
しかしながら、何度通報しても取り締まっていないところを見ると、売れること自体は販売者のみならずYahoo!フリマとしても手数料が取れておいしいので見てみぬふりをしているのかもしれません。
とはいえ、偽物を掴まされるリスクが高いので購入はおすすめしません。
B.出品禁止物
化粧品(当社が化粧品と判断したものを含みます)のうち以下に該当するもの
https://paypayfleamarket.yahoo.co.jp/guide/guideline/detail/#B
- 個人が製造したもの
小分けまたは注文を受けて必要量を小分けするものもこれにあたります。- 個人で輸入したもの
ラクマのガイドラインに記載の禁止行為
ラクマでの香水の量り売りは小分け販売が明確に禁止されているようですが、製造番号・成分表などが本体もしくは箱に記載するべきとなっているのでそこまで忠実にルールに則った販売をしていないと分割販売でもNGということですね。
禁止されている出品物
・手作りコスメ
・テスター
・小分け販売
・個人的に海外から輸入品
・偽ブランド・レプリカ・模造品
・薬機法に低触する化粧品類
・製造番号、製造記号や成分表が商品本体やその箱に記載されていない又は削られている化粧品類
https://news.fril.jp/entry/20190318_200rsp
香水の量り売りを適切に購入できる場所
香水の量り売りを安全に購入する方法はルールを守って販売している通販サイトで購入することです。
クチコミなども参考に安全と思われる販売サイトをご紹介します。
カラリア
カラリアは好きな香水が毎月上質で丈夫なボトルに4mL入って届く定期便です。
初回は好きな色のアトマイザー付。有名ブランド商品を含む1,000種類以上もの香水があるため、様々な香水楽しめます。
香りに迷ったらプロに相談できるのも嬉しいポイントです。
以下の通り信用できる販売方法を採っている他、しっかりした保管状態を維持し入荷・開封してから1年以上経過した商品が手元に届くことはないようです。
カラリアでは化粧品製造販売業許可を取得しており、ボトルを小分けにする製造場所においても、自治体の視察を受け、製造業許可のライセンスも取得しております。
https://highlinkhelp.zendesk.com/hc/ja/articles/10307062589465-%E5%95%86%E5%93%81%E3%81%AE%E5%93%81%E8%B3%AA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6
セレス
セレスはムエット・ワンプッシュ・5mLからフルボトルまで好きな容量を選んで買える香水の通販サイトです。
フルボトルは定価より上回るので要注意。
Diorのミス ディオール ブルーミング ブーケ オードゥ トワレ(50mL)で比較すると以下。
販売店 | セレス | DIOR公式サイト |
価格 | 15,750円 | 11,660円 |
販売方法や品質管理に関しては信頼に値するだけの根拠をサイト上に記載していました。
Celesは化粧品製造業許可ならびに化粧品製造販売業許可を取得し、衛生的で適切な環境下で香水を分割充填・管理しております。
https://www.celes-perfume.com/%e5%93%81%e8%b3%aa%e7%ae%a1%e7%90%86%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/
香水の量り売りで評判は悪くないものの謎の多いサイト
香水の量り売りサイトで悪いクチコミが目立つようなことはないものの、わからないことも多くて偽物や違法かはわからないものの怪しさも感じるサイトもあります。
香水の館
香水の館は、楽天・Qoo10・Yahoo!ショッピングなど、様々なお店で香水の量り売りをしていましたが、今は閉鎖して休業しているようです。
というのも、偽物を販売していたとして社長が逮捕されました。
株式会社香水の館が運営。2020年に購入したアトマイザーに「株式会社サイバーウォール」と記載が。企業検索すると、2018年12月時点で会社名が株式会社ZE-STARになっていました。香水を取り扱う事業がある様子はなく、なぜ2020年に購入したものに旧会社名の記載があるのか不明。
小分けなのか分割販売かなどもわからず・・・
分割販売でも「製造販売業者の氏名又は名称及び住所」と販売会社名が一般的には書いてあるように思いますが、株式会社香水の館という表記はなく、株式会社サイバーウォールとその住所のみでした。
「香水の館は偽物を扱っているのか?」「この商品は本物ですか?」など、の質問に、
「化粧品販売業の許可を持った国内卸売業者を介して入荷をしている本物」や「化粧品販売業の許可を持った国内卸売業者を介して入荷をしている正規品」と回答していたため、これまでは香水の館の商品は偽物や違法ではないように思えましたが、「正規品1」どこから偽物だったようです。
ちなみに、2020年時点でも違法行為を行っていたとすれば、私も詐欺被害に遭っていたようです…
まとめ
香水の量り売りは条件をクリアしていれば違法ではないものの、知ってか知らずか違法に販売しているお店もあるため要注意です。
フリマアプリでは基本的に香水の量り売り自体を禁止しているサイトが多いため、本来は購入してはいけません。
また、本来守られるべきルールを守っていないお店や懐疑的な口コミがある店舗で購入すると、中身が偽物であったり容量を偽られたりするリスクもあるため、購入を避けた方が安全です。
様々ある量り売り店の中で実績が多いものの偽物疑惑も多い香水の館はやはり偽物で、社長が逮捕されています。自分自身も少額でも詐欺に遭ったのはとても残念です・・・。
- 正規品とは、日本国内にある海外メーカーの直営店や正規代理店が直接輸入して国内で販売している製品のこと。 ↩︎